country hick
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BGM♪ Home Sweet Home / Amelita Galli-Curci 


先日、とある待ち合わせのために「新宿アルタ前」という、「上野の西郷どん」「渋谷の忠犬ハチ公」
などと並ぶ定番スポットに赴いたときのこと。

11時45分に待ち合わせていたのだが、先方から少々遅れるとの連絡があり、忠犬のようにただ
ひたすら待つのも無粋なので、最近買ったiPhoneを片手にインターネットでもしつつ、都会の
男を気取ってクールに待ってみることにした。

実は丸くてデカい郵便ポストが現役で働いている横に野菜の無人販売があり、そこいらのジイ様は
トラクターをスクーター代わりに公道を乗り回したり、朝には雄鶏の鳴く声で目が覚める様な
ところに住み、「~だんべぇ?」とか語尾につく西多摩弁が一番喋り易いくらいのド田舎者なのに、
たまにトコトコと新宿なんぞに下山してくれば、田舎者の悲しい性で、つい、いらん「俺は都会の男演技」をしてしまう。

「俺ぁイナカモンじゃないもんね。(一応)東京都民だもんね。だからアイホンだって
待ち合わせ中にササっとイジってヤフーだって見れるし、アルタ前だからってあのデカいモニター
をボケ~っと見上げてたりしないし、フリスクだって小粋に口に入れちゃうもんね。」と。

そんなこと考えてる時点で、十分イナカモンなのだが。
故に「iPhone=都会」という勘違い甚だしい単純バカな方程式を作り上げたりしてしまったりするのだ。

実際、いくら都会者ぶったって、渋谷の雑踏でガチャピンとムックの様な着ぐるみを纏って闊歩する若者や、
志茂田景樹の様なカゲキな格好で表参道のオープンカフェで普通にコーヒーを飲むオジサンに出くわすと、
びっくらコイて凝視してしまう。周りを見れば、誰もそんなモンに興味を奪われている人はいないのに。
中央線や山手線の中でだって、いまや誰も見ていない車内の動画モニターの広告を、飽かずじぃ~っと眺めてしまう。

さて、そんなイナカモンがiPhoneを弄びつつ壁に寄りかかり、ちょっと難しげななニヒル顔を演じて
人を待っているところに、なにやらアルタ前が騒々しくなってきた。

そう。お昼のアルタ前と言えば「笑っていいとも!」のオープニング画面で、一般人を一瞬映すの
である。その為に、映りたい人たちが集まってきたのだった。

「けっ。イナカモンどもが。」と心の中で呟く私。しかし、毒づいたものの「いいとも
のオープニングに映ってみたい・・・」という衝動がムクムクと沸いてきた。

なぜなら、私自身がそのイナカモンだから。

実家の居間でコタツに入り煎餅でもカジりつつ、この番組が大好きで、今日も絶対観ている母親に
電話を掛け「俺、映ってんべー?右・・・あ、そっちから見て左!左にいんべ!?」
などとやってみたい。と。

しかし、いつかウィッキーさんにズームインで「ワンポイント英会話」の街角インタビューを
受けてみたいから、武蔵五日市駅に来ないかな~と切に願っていた田舎少年は、オッサンになり
羞恥心という鎧を着てしまっていた。

だが、せっかくこんな場面に遭ったのに何もしないのは勿体ない・・・と思い、持っていた
iPhoneをビデオカメラにして「映ってるひとたちを映す」ことにした。
映るのは恥ずかしいが、テレビに映るそんな場面を活かしたいが故に、
そんなコペルニクス的転回の発想を思いついた。
知らない人たちを勝手に撮るのもどうかと思ったが、全国ネットで己の姿を晒したい人たちなので
よしとした。

録った動画を観てみると、テレビカメラに向かって笑顔で手を振る大勢の「映りたい」ひとたちと、
何事もないように脇目も触れず通り過ぎてゆく新宿の都会人たちが映っていた。

脇目も触れず通り過ぎてゆく都会の人たちと違い、テレビに映ろうとひしめく群衆の周りで、
それを珍しがって撮ろうとウロチョロと右往左往していた私は、やはり生粋のイナカモンであろう。

Suicaってものを使ってみようかと考えてみる、雪の降る二月の午後である。
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by hideet-seesaw | 2011-02-11 15:29 | photograph


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