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the water of flower.
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BGM♪ Time to go / Full moon


私はいつも鼻が詰まっている。

さらに10代の頃までは、何故か大事な場面で鼻水が止まらなくなるという、
なんとも厄介極まりない体質であった。

それは中学2年のとき。全校生徒で体育館に集まって整列して校長先生の話を聞いていたときの話だ。
隣の列に、ちょっと(けっこう)憧れていたS先輩(女)がいて、校長先生の話など
そっちのけの上の空で、ちょっと先輩を意識しつつドキドキしていた。・・・ら、

つつつーーー

鼻水が出てきた。「ちっ・・・またか・・」と慣れたもので、すん、すん、と吸ってごまかして
いたが、ポタ・・ポタ・・と閉め忘れた蛇口ぐらいの勢いだった鼻水が、そのうち放水車くらいの勢いになってしまった。
そんなジャジャ馬な鼻を持っているクセに、ハンカチやティッシュを持ち歩いていない、キタナイ思春期の私でした。

ぐず・・・ずび・・ずびびぃ  

バキュームBYマイセルフでは追いつかないので、手の甲で擦り始め、手がベトベトしてきたので、
学ランの襟口に擦る最終手段でしのいでいた。校長先生の話は終わる気配はない。
少々ビロウな話で申し訳ない。

そんな様子の私に、こともあろうか隣の麗しのS先輩が気づいてしまった。
巧みに誰にも鼻水垂れ流しをバレないようにしていたが、襟口で顔付近を拭いつつ
「ぐず・・ぐずず」と、うつむき加減にしているので、きっと泣いているように見えたのだろう。

「秀人クン・・・泣いてるの?大丈夫?」
「!??×#$☆¥△○・・・!!・・・ハイ・・・ずび・・・大丈夫です・・・ずずぅ」

鼻水がバレそうでこっ恥ずかしいのと、憧れの先輩が気遣ってくれて嬉しいので、完全にパニックに
陥ってしまった。嬉しいのは嬉しいのだが、そんな鼻水状態は絶対見られたくないので、
出来れば放っておいてほしいような・・・。しかしもっと気遣って欲しいような・・・。
思春期の矛盾した思考ってのは、ホント手に負えないほどバカである。

頭の中の状態を例えて言うなら、四畳半一間の散らかった部屋にオードリー・ヘップバーンの容姿をした
林家パー子が、ワーキャー甲高い奇声を上げながら30人ほど、フラメンコダンスを激しく踊りながらやってきたくらい、
ちょっと嬉しい様な、でもかなり大迷惑な様な、そして大パニックな心境であった。

「ねえ、どうしたの?大丈夫・・・?」

と、私が泣いていると思って私の一挙一動を凝視し、優しい小さな声で覗きこんで話しかけてくる。
必死に鼻水ズルズルを悟られまいとする私。校長先生の「で、あるからして・・・生徒諸君は・・・」なんて話を聞いて
感無量で泣く危ないヤツにも思われるかも知れないし、鼻水がバレれば陰でそのまんま「はなみず」なんて安直なアダ名を
付けられるかも知れないし、勢いはそのころナイアガラの滝になっているし、助けてくえれ~~~
と、絶体絶命の救難を神に祈ったその刹那。

「ぐふぶびっ」

むせてしまい、折りしも前方に並んでいたT君の学ランの背中にでっかい「鼻水玉」が弧を描きながら命中した。
S先輩はそれを見るや「うっ・・・」っと一声発して、それきり私を気遣う様子は見せなくなってしまった・・・。
事の全貌を知り、そっとしておくのが良策と考えたのか、はたまた「触らぬ鼻水男に祟りなし」と思ったのか。

私は頭の中が臨終後の心電図のように「ピーーー・・・」っと完全に真っ白になってしまって、
全校集会途中に体育館を抜け出すと、もうイヤんなってそのまま夢遊病患者の様にフラフラと家に帰ってしまった。

その夜、「うおおおおおーん・・・」と負け犬の遠吠えさながらに、枕を濡らした。
そして、その後S先輩とは二度と口を聞くことはなかったのだった。

ちなみに、私のバッちい鼻水玉を学ランの背中に食らったT君。次の日、気になって背中を見てみると、そこにはカッピカピになった
私の鼻水のミイラがまだいた。「うわ・・・」っと思ったが、名乗り出て謝るのもなんなので放っておいたら、
5日間くらいそのミイラは日に日に小さくなりつつも、しぶとく残っていたのが妙に悲しかった。

あまり接点のなかったT君は、今でも私の中の印象は「鼻水ミイラ」でしかない。T君ゴメンなさい。もう時効でしょう。

最近鼻の「鼻中核湾曲症」の手術をしようと思って、ふと思い出した話である。

model sumitaka
by hideet-seesaw | 2011-01-21 17:02 | photograph


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